レイトショーと東京


私は昔から夜に出かけることが苦手だ。

しかし、夜は好きで

夜に行われる行事や

あのワクワクして冷静になった時の

鬱病の様な都会も好きだ。

しかし歳も取り病気も悪化した私は17時以降外出はしなかった。

ここ2〜3年の話になる。

3ヶ月前、元々患っていたパニック障害に加え、治ったはずの脅迫神経症。プラス後々解明する双極状態に陥っていて不安定どころではない状況だった。

家の外でも中でもどこであろうと突然泣いたり叫んだり、思い立てば夜中に徘徊し、警察に世話になり他人に怒鳴られ心配され訳もわからず吸わないタバコを買って身体中に押し付けていた。

(しまいには首を吊ったが生きているし回復してきている。)

そんな錯乱状態の中、私は突然外に繰り出しジャックアンドベティのラスト回の「鵞鳥湖の夜」を見た。

吐瀉物の匂いのする黄金町、体調の悪い血の様な京急線。

マスクをしたキャメルのコート。

ドブの匂いを隠す様な香水の女。

それでもあの3人だけの空間と赤い椅子

グイ ルンメイは泣きたくなるほど美しかったのだ。

これが、18年前私が上京した時の東京だった。

夢も希望も絶望も全てある。

く〜、エモいぜ。

レイトショーをもう一度味わいたい。

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it's OK FILM 阿部綾織

it's OK FILM 代表 阿部綾織の日々の生活